ショアジギングやオフショアキャスティングの世界で、多くのエキスパートアングラーから絶大な信頼を得ている2つのスピニングリール、シマノ「ツインパワーSW」とダイワ「セルテートSW」。
「いつかは手に入れたい」と憧れる方も多いのではないでしょうか?しかし、いざ購入を検討すると、
「どっちも評判が良いけど、具体的に何が違うの?」 「自分の釣りスタイルには、どちらが合っているんだろう?」
と、悩んでしまいますよね。
この記事では、そんな悩めるアングラーのために、シマノとダイワの技術の粋を集めた両雄、「ツインパワーSW」と「セルテートSW」をあらゆる角度から徹底的に比較します。
それぞれの技術的な特徴から、実際の使用感、そしてどんなアングラーにおすすめなのかまで、あなたのリール選びの決定版となる情報をお届けします。
究極の選択!ツインパワーSWとセルテートSWのコンセプト
まずは、両機種がどのようなコンセプトで作られているのかを見ていきましょう。立ち位置を理解することで、その後の比較がより分かりやすくなります。
- シマノ ツインパワーSW:「強さ」への絶対的なこだわり シマノのオフショアスピニングリールの中心を担うツインパワーSW。そのコンセプトは、フラッグシップモデルである「ステラSW」の思想を受け継ぐ「絶対的な強さ」と「信頼性」です。過酷なソルトウォーターシーンにおいて、アングラーが安心して大物と対峙できるための剛性と耐久性を徹底的に追求しています。

- ダイワ セルテートSW:「軽快な操作性」と「パワー」の両立 ダイワのSWスピニングリールの中核をなすセルテートSW。こちらはフラッグシップ「ソルティガ」の強靭さを受け継ぎつつも、「軽快な操作性」を融合させているのが特徴です。アングラーの集中力を途切れさせない軽やかな巻き心地と、いざという時のパワーを両立させています。

【テクノロジー対決】5つの重要ポイントで徹底比較
それでは、両者の心臓部ともいえるテクノロジーを、5つの重要なポイントで比較していきましょう。
1. 剛性対決:HAGANEボディ vs モノコックボディ
リールの「強さ」を最も左右するのがボディ構造です。
- ツインパワーSW:伝統と信頼の「HAGANEボディ」 高剛性のアルミニウム合金を採用したシマノ伝統のボディ構造です。たわみを極限まで抑え込み、アングラーがかけた力を逃さず巻き上げる力へと変換します。長年の実績に裏打ちされた、まさに「質実剛健」を体現したボディです。

- セルテートSW:次世代のスタンダード「モノコックボディ」 ボディ自体がフレームとしての役割を担い、内部のギアを強固に支持するダイワ独自の構造。従来のリールのようにボディとボディカバーをネジで固定する必要がなく、その分のスペースを大型のドライブギアの搭載に充てることができます。これにより、ボディのコンパクト化とギアの大口径化を両立させ、パワーと剛性を飛躍的に向上させています。

ツインパワーSW (HAGANEボディ) | セルテートSW (モノコックボディ) | |
メリット | ・実績に裏打ちされた高い信頼性 ・たわみに対する絶対的な強さ | ・ボディのコンパクト化 ・より大きなギアを搭載可能 ・パワーと回転耐久性の向上 |
考え方 | 堅牢なフレームで内部機構をガッチリ守る | ボディそのものを強化し、ギアの性能を最大限引き出す |
2. 心臓部対決:インフィニティドライブ vs タフデジギア
巻き上げのパワーと滑らかさを司るギアシステム。ここにも両社の思想の違いが現れます。
- ツインパワーSW:「インフィニティドライブ」によるパワフルな巻き上げ これまでピニオンギアの内側で支持されていたメインシャフトを、特殊低摩擦ブッシュで支持することで、摺動抵抗を大幅に軽減。さらに、メインシャフト自体に特殊表面処理を施し、回転トルクを低減。これにより、高負荷がかかった状態でも、驚くほどパワフルで軽い巻き上げを持続できます。大物とのファイトで、主導権を握り続けるための重要なテクノロジーです。

- セルテートSW:「タフデジギア」による滑らかさと耐久性 冷間鍛造で高強度に仕上げた超々ジュラルミン製のギアを、最新のデジタル解析技術で設計。滑らかな回転がより長く持続する「TOUGH DIGIGEAR」を搭載しています。モノコックボディとの相乗効果で、そのポテンシャルを最大限に発揮。軽快でありながら、力強い巻き心地を実現しています。

3. 防水性能対決:Xプロテクト vs マグシールド
ソルトウォーターでの使用において、リールの寿命を左右するのが防水性能です。
- ツインパワーSW:「Xプロテクト」による非接触式防水 ラインローラー部やクラッチ部に採用されているシマノ独自の防水構造。水の浸入を物理的に「弾く」ラビリンス構造(迷路構造)により、回転の軽さを損なうことなく高い防水性能を発揮します。非接触式のため、経年での性能劣化が起きにくく、メンテナンス性に優れるのが大きなメリットです。

- セルテートSW:唯一無二の「マグシールド」 磁性を持つオイル「マグオイル」の壁で、ボディ内部への海水や異物の侵入を防ぐダイワ独自の防水システム。ピニオン部やラインローラー部に採用され、非常に高い防水性能を誇ります。これにより、初期の回転性能が長期間持続します。一方で、特殊なオイルのため、メーカーでのオーバーホールが基本となります。

ツインパワーSW (Xプロテクト) | セルテートSW (マグシールド) | |
メリット | ・回転が軽い ・経年劣化しにくい ・自分でメンテナンスしやすい | ・極めて高い防水・防塵性能 ・初期性能の持続性が高い |
注意点 | 定期的なグリスアップが推奨される | 特殊なためメーカーメンテナンスが基本 |
4. ドラグ性能対決:ヒートシンクドラグ vs ATD
大物とのやり取りの要となるドラグシステム。ここでもアプローチが異なります。
- ツインパワーSW:「ヒートシンクドラグ」(※10000番以上) ステラSWにも搭載されている革新的なドラグシステム。スプール下部に放熱板を配置し、ドラグ作動時に発生する熱を外部へ逃がすことで、熱ダレによるドラグ性能の低下を抑制します。長時間のファイトでも安定した性能を発揮し、ラインブレイクのリスクを大幅に軽減します。
- セルテートSW:「ATD(オートマチックドラグシステム)」 魚の引きに合わせて滑らかに作動し、追従するドラグシステム。急な突っ込みにもラインテンションの変化が少なく、安心してファイトに集中できます。粘り強く、スムーズな効きが特徴です。

5. 飛距離対決:AR-Cスプール vs LC-ABS
キャスティングゲームにおいて飛距離は絶対的なアドバンテージです。
- ツインパワーSW:「AR-Cスプール」 特殊なスプールリング形状により、ライン放出時のトラブルを抑制し、飛距離を伸ばすシマノの定番技術。安定したキャストフィールを提供します。

- セルテートSW:「LC-ABS(ロングキャストABS)」 ライン放出時の抵抗を減らし、スムーズな放出を実現するスプール。従来のABS IIよりも接触抵抗を低減させ、飛距離アップに貢献します。

【結論】あなたはどっち派?タイプ別おすすめ診断
さて、様々な技術比較をしてきましたが、結局のところ、どちらを選べば良いのでしょうか?あなたのフィッシングスタイルに合わせて、おすすめのモデルを診断します。
こんなあなたには「ツインパワーSW」がおすすめ!
- パワーと剛性を最優先したい
- ゴリ巻きで主導権を握るファイトが好き
- リールのたわみや歪みがとにかく気になる
- 自分でリールのメンテナンスも楽しみたい
- ステラSW譲りの安心感が欲しい
「強さこそ正義」。過酷な状況下でも、リールに絶対的な信頼を置いてファイトに集中したいストロングスタイルのアングラーには、ツインパワーSWが最高の相棒となるでしょう。

こんなあなたには「セルテートSW」がおすすめ!
- パワーだけでなく、巻きの軽快さも重要
- ルアーの操作性を重視し、繊細な誘いも多用する
- 一日中キャストし続けても疲れにくいリールが欲しい
- 初期性能が長持ちする方が嬉しい
- メンテナンスはメーカーに任せたい
「強さと軽さの高次元での両立」。軽快な操作性でターゲットを誘い出し、掛けてからはパワフルなファイトでねじ伏せる。そんなテクニカルなアングラーには、セルテートSWが新たな可能性を見せてくれるはずです。

まとめ
「ツインパワーSW」と「セルテートSW」。どちらも現代のソルトウォーターフィッシングシーンをリードする、甲乙つけがたい素晴らしいリールです。
- 絶対的な強さと信頼性の「ツインパワーSW」
- 軽快さとパワーを両立した「セルテートSW」
今回の比較を参考に、ご自身の釣りのスタイル、フィールド、そして何より「どんな釣りをしたいか」という価値観と照らし合わせてみてください。
高価な買い物だからこそ、じっくりと悩み、考え抜いて選んだ一台は、きっとあなたにとって最高の思い出を運んできてくれるはずです。
この記事が、あなたの究極の選択の助けとなれば幸いです。
